前編の笛の発見から、中編の様々な種類のフルートを経て、今回はいよいよ、現代のフルートが完成するまでを紹介していきます。
前回の記事はこちら。
端的に知りたい方は、こちらの動画でも紹介されています。
ベーム式フルート
1820年頃から活躍していた、
イギリス人フルート奏者 C. ニコルソンは、
元々手が大きく、高度な技術があったので
通常よりも大きなトーンホールの楽器を演奏していました。
ドイツ人フルート奏者で製作者でもあったテオバルト・ベームは、
1831年にロンドンでニコルソンの演奏を聴いて、
その音量の大きさに衝撃を受け、自身の楽器の本格的な改良を何度も繰り返しました。
ベーム式フルートは、フランスでその優秀性が認められ、
それからイギリスでも使われるようになりましたが、
発祥の地であるドイツでは20世紀に入るまで受け入れられませんでした。
・これまでのフルートとは運指が異なること
・この頃、ドイツ音楽界に大きな影響力を持っていた作曲家 ワーグナーが、ベーム式フルートの音色を嫌ったこと
が、ドイツでの普及を妨げた大きな要因といわれております。
モダン・フルート
1847年にベームが発表したベーム式フルートは、
現在のカバードキー型のフルートとほとんど変わらないものの、
Gisオープン式であり、見た目もあまり良くありませんでした。
フランスの楽器製作者である
ヴァンサン・イポリト・ゴッドフロワや
ルイ・ロットらの手によって、
前の円錐ベーム式フルートとは異なる新しい構造のリングキーを使用した、
いわゆるフレンチスタイルのフルートが生み出されました。
より運指が容易なGisクローズ式に変更され、細部にわたって改良されました。
こうして現在のフルート(モダン・フルート)が誕生したのです。